浪速区医師会 七十年の歩み

診療合間のぼやき 太 田 幹 夫 なんば太田クリニック 医師になって凡そ 50 年、この地に精神科心療内科の 医療を開いて 30 年、そろそろ後期高齢者、地域医療に 貢献してきたと言うのもおこがましく、ただ平々凡々 と休むことなく無難に診療を続けてきた。 すべての役職から解放された 10 数年前、念願の診療 に専念できると期待した頃から徐々に診療時間が窮屈 になってきた。受診患者が増加したわけではない。主 因は記載する書類の種類や量が飛躍的に増え、記載内 容が広がり、その質も問われることにある。 障害者福祉手帳の診断書にてんかん発作の最終発作 日を空欄のままにしたところ当局から発作日を明確に せよと指示がきた。 担当者に不明と返答するも納得せず、凡そでもよいからと執拗に求め てきた。再反論するのもおとなげないのでとりあえず調べなおしてみた。 本人に再度尋ね てみるも分からず、分厚いカルテを最初から丹念に調べるも分からない。結局、調べても不 明でしたと返答したが、その後の応答はない。つまらない拘りに付き合わされる理不尽に唖 然とした。 他の医療機関との連携はもとより介護保健、福祉保健、産業精神保健、生活保護、学校、職場、 警察、司法などの診断書、意見書、紹介状、診療情報提供書、報告書等、記載を求められる 書類が30種以上ある。自立支援、障害者手帳、障害年金など精神科では馴染みの診断書はネッ トや口コミからの情報が広がり積極的に利用する人が飛躍的に増えている。無論数分で処理 できる書類も多数あるが、障害年金や成年後見制度の診断書のように、過去 10 年以上のカ ルテを読み取り、1 日掛かりで記載するような大変な書類も少なからずある。 書類作成に費やす時間を概算してみると 1 日 3~4 時間になる。診療の合間や休憩時間に 書類を書くようにしているものの、時には残業または持ち帰って取り組むこともある。今や 昼食時間は 10 分間、出勤してから帰宅するまで職場ではほとんど休息する暇がないほどハー ドな毎日になっている。無論、専門書や雑誌または文献に目を通す時間や医学情報に触れる 機会は激減している。 116

RkJQdWJsaXNoZXIy NDY3NTA=