片頭痛の治療薬は 2021 年にわが国でもカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連 抗体薬が上市され、保険診療として使用可能となりました。これまで、コントロールが難し かった難治性の片頭痛の方が、月に 1 回の注射で片頭痛発作が激減し、人生がかわったとおっ しゃることも少なくありません。現在、ガルカネズマブ、フレマネズマブ、エレヌマブの 3 製剤がラインアップされており、いずれも在宅自己注射も可能となっています。保険適用の 要件として、片頭痛の診断が確実になされており、月 4 日以上の生活に支障のある片頭痛が あり、既存の予防療法では十分な効果がえられない方、有害事象等で使用できない方となっ ています。詳細はメーカーや、頭痛学会のホームページ等でご確認いただければと存じます が、ここ 3 年間の使用経験から、副作用が少なく効果が高い治療法であり、片頭痛がこじれ て慢性化してしまう前に導入するほうが良いという考えが主流になってきています。また、 わが国では予防療法のセカンドチョイスの位置付けですが、欧米のガイドラインでは有効性、 安全性に鑑みてファーストチョイスの薬剤として推奨されるように変化してきています。 海外ではすでの経口 CGRP 拮抗薬(ゲパント)が使用されています。ゲパントは片頭痛 発作時の急性期治療薬としても使用可能で、予防療法薬としても使用可能なユニークな薬剤 です。現在、わが国でも臨床試験が進められております。 さらに最新の片頭痛研究にもとづいて新しい薬剤の開発もされており、片頭痛治療は劇的 に変化しつつある領域です。片頭痛は直ちに生命を脅かすことはありませんが、日常生活を 阻害し、人生を破壊する疾患です。特に働きざかりの女性に多い疾患ですので、女性活躍社 会の流れのなかで特に注目されているところです。 アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドが蓄積し神経障害をきたし、認知機能が低下 する脳神経疾患です。これまで脳内のアセチルコミンを増加させる薬剤(ChE 阻害薬)や興 奮性アミノ酸による神経伝導を安定させる薬剤などが使用されていましたが、抗アミロイド 抗体薬であるレカネマブが 2023 年末に承認され 2024 年初頭から広く使用されるようになっ ています。2 週間に 1 回の点滴投与で 6 ヵ月を目安に継続し、問題なければ 1 年半程度使用 する薬剤です。投与中に ARIA と呼ばれる脳画像異常に注意して使用する必要があります。 ARIA には脳血管周囲の浮腫(ARIA-E)と、脳内の微小出血や鉄(ヘモジデリン)沈着 (ARIA-H)の2種類があります。無症候の ARIA を早期にみつけて対処することで安全に 使用できると考えております。 多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)は中枢神経の脱髄疾患で治療 困難な神経難病でしたが、最近は、病態研究が進み、新たな治療薬が次々と開発され予後が 劇的に改善しています。疾患予後を改善する薬剤は疾患修飾薬(DMD)とよばれますが、 MS に対してはグラチラマー酢酸塩、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド、ナタリズマブ、 シポニモド、オファツムマブなどが承認されています。NMOSD にはエクリズマブ、サトラ 108
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