浪速区医師会 七十年の歩み

コロナ禍の診療 ~発熱外来を始めて、 経験したことと感じたこと~ 福 永 真 也 医療法人真医会 福永クリニック 2024 年 1 月 3 日私は今里休日診療所の当番医で、診察をしておりました。その日 90 代の 女性がそのご子息らしき方と、発熱を主訴に来院されました。抗原検査にて COVID-19 陽性 の診断でした。ご子息に告げると、ご子息は「コロナは大した疾患じゃないですもんね。良かっ た。」と言われ、以前の新型コロナに対する反応と随分変わったものだと実感しました。当然、 ご子息には高齢者のコロナはあまり簡単に考えず、呼吸苦などあれば救急車を呼ぶよう話し ました。今回発熱外来を行っていたこともあって、有田前会長よりコロナ禍の診療の執筆依 頼を受けることとなりました。その頃の社会状況などもあって、今思えば随分色んな経験も したものです。懐かしさや、その頃の皆様の心情など思い返していただいて、一読いただけ ると幸いです。 2019 年 12 月初旬、私のクリニックは初めての社員旅行で、金沢に行きました。当然、宴 会なども行い、楽しく過ごした記憶があります。12 月 31 日に初めて、中国武漢で原因不明 の肺炎の流行が発表されました。2020 年の 1 月 3 日には武漢でクラスターとなっていると 発表され、1 月 14 日に原因が新型コロナウイルスであると WHO が報告しました。1 月 18 日東京の屋形船で集団発生を認めます。1 月 23 日には武漢が閉鎖されました。2 月 11 日こ のウイルスに対して COVID-19 と正式名称が発表されます。2 月 3 日ダイヤモンドプリンセ ス号の入港で多くの報道番組が取り上げております。自分はこの段階であってもまだ、対岸 の火事、季節性インフルエンザの発生に注視している段階でした。3 月初旬に高熱を主訴に 男女 2 人の患者様が来院されます。定型通り、インフルエンザの検査を行い、陰性を確認し、 抗生剤など処方いたしました。その 1 週間後、保健所からその 2 人の患者様が、3 月 5 日京 橋のライブハウスでクラスター発生時の患者様である報告を受けました。そして、そこから 2週間毎日スタッフの検温と症状の有無の報告をすることとなりました。ここに来て、初め て新型コロナウイルスが近くに来ていることを実感することとなり、高熱の発熱患者の受け 入れを中止する方向となったのです。周囲の医療機関も発熱患者の受け入れを断っているみ たいで、他院で断られた発熱患者を、当院でも受け入れを断るという、どうしようもない忸 怩たる思いでした。もしかしたら、普通にのどを腫らしているだけかもしれない患者も、受 46

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