浪速区医師会 七十年の歩み

科学者とセレンディピティ :だから研究はやめられない 小 池 浩 司 小池レディスクリニク 浪速区医師会の 70 周年、おめでとうございます。 小生も伝統ある浪速医師会の会員としておよそ 10 年余お世話になっております。大してお役に立って おりませんが、何でもいいから記念誌に寄稿して欲 しいとのことで、人生の雑感を寄稿させてもらいま す。 私は開業まで長年に渡り大学病院に勤務して、医 学生への教育、患者の診療、新しい発見を求める研 究生活、そして一般市民や医師などの教育を目的に 私の専門領域についての啓蒙活動に努めてまいりま した。そして、医学部の教官の業務である教育、診療、 研究、地域貢献の4本の柱の中で、私を最も長きにわたって「大学での在籍」に引きつけて いましたのは、研究生活での魅力でした。大学を去り、勤務医や開業医になっている友人か ら「先生はなぜそんなに研究が好きなのですか?」と、よく聞かれますが、いつも「性分で すかね」と笑って返事していました。実は私も自分の「研究好き」の理由が判然としていま せんでした。大学での研究生活の半ばを過ぎた頃、ある言葉を耳にしました。そして「これ なのだ、このために、いつまでも飽きずに研究にのめり込んできたのだ・・・」と、やっと 研究生活を押し進めているモティベーションに気がつきました。 それは、「セレンディピティ(serendipity)」という言葉でした。もともと、「serendipity」 という言葉は、イギリスの政治家にして小説家であるホレス・ウォルポールが 1754 年に生 み出した造語です。彼が子供の時に読んだ童話にちなんで作ったことばです。セレンディッ プとはセイロン島(現在のスリランカ)のことで、セレンディップに住む3人の王子様の物 語に由来します。その物語のあらすじですが、王子たちの旅の途中に、度々意外な出来事に 遭遇し、彼らの知恵と想像力で、彼らがもともと探していなかった「何かを」発見する物語 です。 現在では、この言葉は「素敵な偶然」に出会たり、予想外のものを発見すること。また、 何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。言 81

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