い換えれば、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることです。例えば、全く仕事上 関係のない友人と話していて、友人の言葉から「偶然、いいアイデアを思いついた」、たま たま出会った人や出来事から「人生における大きなチャンスや幸せを掴み取る」ことなどに 使われます。 フレミングが黄色ブドウ球菌の培養実験中に、シャーレの一部に青カビが生えていて、そ の周辺にはブドウ球菌が発育していないことに気がつき、青カビに細菌の増殖を抑える物質 があることを突き止め、ペニシリンの発見に繋がりました。フレミングにとって、まさにこ の物語は「セレンディピティ」です。 さて、前置きはこのくらいにして、私の研究嗜好についての物語について少し話を進めま す。 話は浜松で過ごした高校時代にさかのぼります。 私は、柔道クラブに所属していましたが気乗りがせず、退部し、文化系のクラブである地 学クラブに所属することに決めました。そこで、それぞれの事情で運動クラブを退部した仲 間4人が集まり、テーマが見つからず悩んでいました。その時、父親の友人と出会い、「古 代トラの牙の化石を発見した」と、自慢げに家を訪れてきました。それがきっかけで、我々 4人は研究班(谷下班)を作り、班の研究テーマも「化石を掘ること」で一致しました。父 の友人の紹介で教えてもらった場所の、井伊谷の谷下(やげ)で、土を掘りだしました。す ると仲間のだれかが「おい、骨見つけたぞ~」と叫びました。「俺も、俺も・・・」と、みんな、 それぞれいくつかの化石を、次々に見つけました。2~3か月もすると、化石は山のように 集まってきました。同じようなものがたくさんありましたので、代表的な化石を選んで、東 京の上野の国立科学博物館の古生物学教室の長谷川善和先生のもとを訪ねました。先生は素 人の高校生の私たちに親切に、これは「鹿の脊椎」、これも「鹿のかかとの骨」といった具 合に動物の種類とその部位を教えてくれました。同じ動物で、部分的につながっているとこ ろを合わせると、復元できる部分もありました。長谷川先生に「このなかで珍しいものはあ りますか?」と仲間が質問すると、「残念ながら珍しいものはないですね。でも、あきらめ ずに掘っていれば、珍しいものが見つかるかもしれない。コツコツと努力を重ねるのが、発 掘です。それが、偉大な発見につながります。」と返事されました。 この時、ふと、発明王エジソンの言葉を思い出しました。「発明は 99%の努力と1%のひ らめきである」という言葉に、なにか通じるものを感じました。 「ひらめき」の陰に努力が隠れていることを教えていると! ある日、私の掘っている赤土のなかから、大きな太い骨のようなものが出てきました。今 まで見たことのないような大きい骨で色もピンク色でした。次の日曜日には早速、人骨かも しれないと期待しながら、我々は上野に向かいました。長谷川先生は「うう~ん、と大きく 82
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