ド教授と私で、どこか覚えていませんが、有名なホテルの中華レストランで食事をしました。 その食事中に、青野講師とマックロード教授の間で、私が大学院を卒業したら、そのままマッ クロード教授のもとへ留学する事が決まりました。 大学院での青野講師との出会い、そして研究テーマの「プロラクチンとドーパミン」が、「セ レンディピティ」を呼び寄せ、留学に導いてくれました。 大学院を終了し医学博士号を授与された後、直ちに米国のバージニア大学のマックロード 教授のもとにポスドクの研究員として留学しました。そこでは、おもに基礎実験でドーパミ ンの作用やプロラクチンの分泌される仕組みについて脳下垂体の細胞を使って研究しまし た。このプロラクチンの研究は日本に帰ってからさらに発展させましたが、他の研究施設か らのプロラクチンの概念を大きく変える発見により、私の研究テーマも大きく変わっていき ました。それは、私が日本に帰国してまもなく、プロラクチンの受容体が免疫の情報伝達物 質(サイトカイン)に属することがわかったのでした。このプロラクチンが「免疫」と関係する、 そうした論文は、まさにその後の研究分野の拡大への「セレンディピティ」でした。 それまではプロラクチンは脳内の「脳下垂体」というホルモンの中枢器官で産生され、血液 中に放出され、乳腺に到達して乳汁分泌の産生を促す物質との認識でした。また、赤ちゃん が乳首を吸うと、プロラクチンが上昇して、その刺激が大脳に伝わり、母親の愛情や母性を 引き出す仕組みがあること、脳の視床下部に作用して排卵を抑えて月経が来ない状態にする こと、さらに授乳刺激は脳の視床下部を刺激して、愛情ホルモンの「オキシトシン」の分泌 を刺激し、こちらも母性を刺激する一方、産後の肥大した子宮を収縮させて子宮の復古を促 す役割があることが明らかにされています。これらの研究分野は「神経内分泌」と呼ばれる 領域で、私が精力的に研究してきた領域でした。そのホルモンであるプロラクチンが実は受 容体の分類からすると、ホルモンではなく免疫系の情報伝達物質であるサイトカインファミ リーに属すると言うのです。プロラクチンは脳下垂体だけでなく、リンパ球でも産生され、 免疫ネットワークの一員として働いていることも明らかにされてきました。 この衝撃的な事実から、私の研究テーマは「サイトカインとホルモン分泌」と言う研究テー マに向かって梶を切りました。アメリカで脳下垂体におけるの「プロラクチンの分泌調節機 構」について研究し、帰国後も脳下垂体でのホルモン分泌について研究していましたので、 そのまま、免疫の情報伝達物質(サイトカイン)のホルモン分泌に及ぼす影響について、研 究をシフトしていくつかの論文を書き上げました。 中でも「セレンディピティ」を呼び寄せたサイトカインがありました。それは「ケモカイン」 と言うサイトカインでした。そのケモカインはヒトではインターロイキン8、ラットでは CINC(Cytokine Induced Neutrophil Chemoattractant)がそれに相当し、白血球を惹き つけ、局所に集める役割を持っているサイトカインです。このサイトカインは免疫担当細胞 87
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