す。 アメリカで実感した「ホルモン療法による女性の心身の若返り」の実態を教訓に、帰国後、 私自身ホルモン療法を中軸に更年期医療にも積極的に取り組んで参りました。この治療法に より、多くの更年期症状が改善し、骨粗鬆症による膝や腰の痛みの改善と共に、更年期から の人生が再び「輝き」だし、人生への取り組み方そのものが変わった女性を多数見受ける反面、 近所の人から聞いた根拠のない話やかかりつけの医師からの間違った情報がもとでこの治療 法をやめてしまう女性の多さにも驚かされました。根拠のない個人的な印象や先入観だけで 判断せず、まずは、現時点での正しい更年期医学の知識を持っていただき、それをもとに、「ホ ルモン療法の是非」を判断して欲しいと、患者さんを集めての勉強会、婦人団体での講演会、 市民対象の公開講座などを通じて、微力ながらホルモン療法の紹介に努めてきました。また、 更年期医療に携わる内科医、精神神経科医、整形外科医、あるいは高齢婦人を診察する開業 医の皆さまにも、正しいホルモン療法の知識を持っていただき、明日の更年期医療を担って 頂くために、東へ西へと講演会に招かれては膝を交えて語りあって参りました。しかし、5 年が過ぎ、10 年が過ぎても、日本でのホルモン補充療法の普及率は一向に上がらず、およ そ 2000 万人いるとされるホルモン補充療法の治療対象人口のおよそ1%が、最近ではやっ と2%に増加したに過ぎません。一方、同じアジアでも隣国の台湾におけるホルモン補充療 法の普及率の向上には目を見張るものがあります。1994 年に 8.6%であったものが 2000 年の 現在 25.6%と、僅か数年間で欧米並にまで普及しているのです。この違いが国民性によるの か、啓蒙・普及に対する取り組みの姿勢によるのかは即断できませんが、いずれにせよ、日 本の女性が「情報過疎におかれて不幸な老後を送る状態」だけは避けなければならないと痛 感しています。 更年期に差し掛かった女性が私の啓蒙する「ホルモン補充療法」という治療法に出会い、 それがきっかけで「セレンディピティ」に導かれていく女性を数多くみてきました。「ホル モン補充療法」により心身ともに若返ると、あらゆる意味での意欲が湧いてきます。その結果、 おしゃれに精を出す女性、ボランティア活動にエネルギーを注ぐ女性、かつての職場に復帰 する女性、あるいは、孫の世話を積極的に見る女性、旅行やその他の趣味に生き甲斐を見い だしたり、文化教室に通い始めたりする女性と、その生き方は様々ですが、ホルモン補充療 法により、多くの女性が更年期からの人生に「輝き」を取り戻しています。そして、更年期 以後の 30 年あまりの人生の「生活の質」の向上をはかり、より豊かな人生の演出に役立た せています。 「更年期女性のホルモン療法の普及は、更年期以降の女性の生き方を変える」そう信じて、 市民対象の公開講座や各地の産婦人科医会、学会の会合に講師として招いていただき、啓蒙 活動を続け、多くの人達と知り合うことができました。 92
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